押し花とは?メリットや活用法、美しく仕上げるコツを紹介
記事の監修
シンフラワー株式会社
シンフラワーはウェディングブーケやプロポーズの花束の保存加工専門店です。
花嫁様が結婚式で使った生花の花やプロポーズの花束を、特殊なドライフラワーの加工や押し花加工で半永久的に保存します。保存方法は押し花や立体的なガラスや3D(立体)額など、40以上の種類から理想の形で制作が可能で、種類の豊富さが特徴です。
最近はプロポーズの108本のバラの花束を残す特注額での制作依頼も増えております。
昔からある、花の保存方法のひとつである「押し花」。生花を長く手元に残したい場合に、自宅でも気軽に作れることから親しまれ続けてきました。厚みのある本で圧力をかけて押す昔ながらの方法が有名ですが、現在はより美しく長持ちさせられる方法もあり、押し花のクオリティが上がっています。
今回は、押し花とはどのようなものか、メリットや活用法を中心に説明します。さらに、現在用いられている押し花作りの方法や、美しく仕上げるコツもお伝えします。押し花に関する知識を深めたい方は、ぜひ最後までお読みください。
- 押し花とはどのようなものか、基本的な知識を得たい方
- 押し花のメリットや上手な活用の仕方を知り、取り入れてみたい方
- きれいな押し花を作り、大切な花を保存したい方
押し花とは
押し花とは、花を紙などの間に挟み押し付けて乾燥させたものと定義されています。まずは、押し花とはどのようなものか、特徴をはじめ、どのように生まれ親しまれてきたのかという歴史も含め見ていきましょう。
押し花の特徴
押し花は、生花を挟み圧力をかけた状態で乾燥させるため、平面状に仕上がるのが特徴です。立体的な生花が平面状になるため、花の種類によっては元の形と異なるように見えるケースもあります。開いた状態で押すと、花の形がよりはっきりと見えやすくなるため、押し花にして美しさを引き立たせることもできます。
圧力をかけずに乾燥させるドライフラワーは、立体的な形を保ったまま完成します。
押し花とドライフラワーで迷ったら、立体的と平面的のどちらで残したいか考えて選ぶといいでしょう。
完成した押し花は、主にラミネート加工されてしおりやシールなどとして活用されています。最近では透明のスマホケースに入れたり、レジンアクセサリーやキャンドル、ネイルアートなどに押し花を取り入れる方も多いです。
押し花の起源と歴史
ドライフラワーの歴史が古いヨーロッパでは、押し花も古くから趣味や工芸のひとつとして親しまれてきたそうです。ヨーロッパでは16世紀頃から押し花が存在していたといわれます。はじめは、生物学者により標本として残されていた押し花ですが、やがて作品として飾られるようになっていきました。
日本での押し花の原点も、同様に植物標本だったようです。多様な植物に圧力をかけ乾燥させた「押し葉」がはじまりでした。花に限らず、草や葉、果実などの植物標本として認識され、そこから花を用いて作られたものが押し花と呼ばれるようになりました。作られはじめた頃は生花の姿と比べて変化が大きく美しく仕上がらなかったため、普及はなかなかしなかったようです。
押し花が趣味や芸術のひとつとして位置づけられるようになったのは、1960年代以降とされています。後ほど詳しく説明しますが、押し花の作り方が時代とともに進化したことがきっかけです。きれいな押し花が作れる方法が認識されるようになり、一般的に親しまれるものとなっていきました。
押し花の普及が本格化したのは、1980年代後半頃とされています。1990年代後半には、愛好者団体や押し花資材を扱う団体により、普及がさらに促進されていきました。
押し花に関する単行本も多数刊行されるようになり、愛好者を増やすのに役立ったそうです。
※参考文献:人間・植物関係学会雑誌/書籍発行の実態からみた日本における「押し花」の普及
押し花にしやすい花とは
押し花を一般家庭で作る場合、どんな花でもきれいに仕上がるわけではありません。一般的な美しい押し花の多くは、押し花向きの花で作られています。ご自身で押し花を作る場合は、押し花にしやすい花を知っておくと便利です。難易度の高い花で挑戦すると、高確率で失敗するため気を付けましょう。
押し花にしやすい花の特徴は、「厚みがない」「水分量が少ない」「小さめ」などが挙げられます。ドライフラワーにも同じことがいえますが、乾燥に時間がかからない花ほどきれいに仕上がりやすいです。押し花の場合は圧力をかけるため、花びらがあまり重なり合っていない厚みのない花が、水分量も少なく乾きやすいと考えられます。小さめの花が推奨されるのも、小さな方が乾燥時間が短く済むからです。具体的には、以下のような花が扱いやすいでしょう。
- 厚みがない花:アジサイ、コスモス、パンジー、朝顔など
- 水分量が少ない花:カスミソウ、スターチス、ミモザなど
- 小さめの花:桜、ビオラ、ネモフィラなど
カスミソウやスターチスは立体的な花でドライフラワー向きですが、水分量が少ないため、押し花にしてもきれいに仕上がりやすいです。
押し花のメリット
押し花にはさまざまなメリットがあります。まず挙げられるのは、長持ちすることや扱いやすさです。切り花を長持ちさせるには水替えなどのお手入れが必要ですが、乾燥している押し花の場合、水分は逆に避けるべきもの。乾いた状態をキープできる環境を確保するだけでOKです。切り花の寿命は長くても2週間程度ですが、押し花にすれば数ヶ月~数年間保管しておくことができます。
さらに、押し花には以下のようなメリットがあります。
自然の色や形を残せる
生花はそのままの状態ではやがて萎れて枯れてしまいますが、押し花にすることできれいな姿を長く残すことができます。自然のものならではの魅力を長く楽しみたい場合に最適な方法といえるでしょう。新鮮なうちに乾燥させることで、生花の姿に近い状態で残しやすくなります。
押し花にしたら永遠に見た目が変わらなくなるわけではありません。自然のものですので少しずつ経年劣化していきます。
生花と比べると、劣化のスピードがかなりゆっくりになるというイメージです。
思い入れのある花を記念に残したいときに、押し花にするといつでもそばに置いておけます。大切な花を形として残せるのは、押し花ならではの大きなメリットといえるでしょう。
平面状のためコンパクトに保存できる
生花を乾燥させてできるものには、押し花のほかにもドライフラワーがあります。ドライフラワーは圧力をかけずに乾燥させるため、生花と同様に立体的に仕上がります。立体花として残したい場合には最適ですが、保管するにはそれなりのスペースが必要です。一方、押し花の場合は平面状に乾燥させるため、厚みがなくコンパクトに保存できます。かさばらず省スペースのため、より多くの花を残せます。
乾燥シートなどと一緒に保存袋に入れて、厚紙や硬質なファイルなどで挟んで暗所に置いておくと長持ちします。
直射日光が当たる場所や湿度が高い場所は、押し花が傷んで劣化しやすくなるため避けましょう。
さまざまな活用法がある
作った押し花は、多様な使い方を楽しむことができます。しおりやシールのほかにも、フォトフレームに入れて壁飾りにすると素敵なインテリアアイテムになります。また、キャンドルやハーバリウムに使ってもいいでしょう。小さな押し花なら、レジンアクセサリーやネイルアートにも活用できます。
ポイントは、押し花を閉じ込めるアレンジにすることです。剥き出しの状態では花びらが割れたり湿気や光の影響を受け劣化が進んだりするため、何かで覆って使うと長持ちします。ラミネート加工をしたり、アクリル板やガラスなどで覆ったりすることで、花が守られます。汚れやほこりが付着することもなく、お手入れが簡単になるというメリットもありますよ。
押し花を作る方法の進化
押し花作りというと、分厚い本を重ねて圧迫する方法を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。昔から親しまれてきた方法で、一般家庭でも気軽に押し花作りに挑戦できるメリットがあります。ただ、この方法は気軽に取り組める反面、乾燥までに時間がかかる、湿度などの影響を受けやすいなど、デメリットがあることはあまり知られていません。
押し花は意外と難しいといわれますが、単に平面状に乾燥させることはできても美しく仕上げるのが難しいのです。これは、押し花がなかなか普及しなかった理由でもあります。
従来の方法とさまざまな方法
花をティッシュペーパーや新聞紙で挟み、重しをしてしばらく置くという従来の方法に加えて、新たな方法も出てくるようになりました。現在も押し花を時短で作る方法として伝えられている電子レンジやアイロンを使う方法は、1980年代から取り入れられています。ただ、一般的な方法として普及するまでには至っていません。
従来の方法では色あせにより元の花の色との変化が大きく、イメージと違う仕上がりになってしまうことも少なくありません。できるだけ色や形が変化しない画期的な方法が生み出されることが、押し花の普及には欠かせませんでした。
塩化カルシウム法による押し花の多様化
一般的にはあまり知られていませんが、押し花の色や形の変化を抑える方法として、シリカゲル(乾燥剤)を用いた方法が取り入れられるようになります。シリカゲル法はドライフラワー作りでは有名な方法ですが、押し花にも用いることができます。同じく乾燥剤の役割を持つ塩化カルシウムも、色や形の変化が少ない押し花を作るために用いられるようになりました。
塩化カルシウムを用いる方法は昔からありましたが、花だけでなく空気中の水分まで吸ってしまうなど、デメリットもありしばらく普及しにくかったそうです。その後、外包材の工夫など改良を経て、乾燥シートで押し花を作る塩化カルシウム法として広まっていきました。
塩化カルシウム法では、水分量の多い素材でも押し花にできます。
花だけでなく、果物や野菜などを押して残したという記録も残されています。
押し花に用いるシリカゲル法や塩化カルシウム法は、従来の方法と比べて美しい押し花を作れる方法といえるでしょう。このような方法を取り入れることもきれいな押し花を作るために役立ちますが、ほかにも知っておきたいことがあります。
押し花を美しく仕上げるコツ
押し花は、ただ花を圧迫して乾燥させればできるわけではありません。せっかく作っても仕上がりが悪かったりすぐに劣化してしまったりしては意味がないため、コツを踏まえて作ることが大切です。きれいな押し花を作るには、整った形に仕上がるよう丁寧に押すことと、色あせを防ぐことを意識しましょう。具体的には、以下のポイントを押さえて作るのがおすすめです。
素材を平らにしてまっすぐ押す
花びらが折れていたり斜めになっていたりしたまま押さないようにしましょう。仕上がりも花の形が歪んだ状態になってしまうため、折れや重なり合いのある部分はできるだけ広げてから押します。圧力をかける前に花びらの形が均一なるよう全体的に整え、垂直にまっすぐ押しましょう。花びらが重なり合っていない厚みのない花は、形を手で整える程度で準備OKです。
ただし、厚みのある花は平らにするための工夫がもう少し必要です。たとえばガーベラなどガクの部分が厚い花は、そのまま押すと水分がなかなか抜けず、乾燥する前に傷んでしまいます。花びらの付け根を傷付けないよう気を付けながら、ガクの部分(裏面)をカッターなどで削いで厚みを減らしましょう。
短時間で乾燥させる
なるべく重なり合っている部分がなくなるように広げたり、厚みを削いで減らしたりすることで、花が平らになります。平らにしてから押すと形がきれいになるだけでなく、水分が早く抜けやすくなるというメリットもあります。乾燥までの時間が短いほうが、色あせしにくく美しい押し花になります。下準備に加えて部屋の湿度を下げる、乾燥シートを使うなどの工夫で、できるだけ短時間で乾燥させましょう。
さまざまな工夫で、一般家庭でも押し花をきれいに仕上げることはできます。ただ、生花と変わらないレベルの美しさをキープするには、専門的な技術が必要です。
保存加工専門店に依頼
一般家庭では、色あせやシワなどがない美しい押し花を作るのは難しく、生花のイメージとは違ったものになることも少なくありません。完成度の高い押し花を作りたいなら、保存加工専門店に依頼するのがベストです。それぞれの花の性質に合わせた方法で美しい押し花に仕上げるだけでなく、美しさが長期間保たれるため、より長く手元に置いて楽しめます。
また、水分量が多く一般家庭ではきれいに仕上げるのが難しい花でも、専門店で加工すれば美しい押し花になり長期保存できます。押し花には不向きとされる花は保存を諦めてしまいがちですが、専門店に相談してみてはいかがでしょう。
シンフラワーで半永久的に保存できる押し花を作ろう
保存加工専門店は、主にウェディングブーケを記念に残したい方のために作られたお店です。専門的な技術で大切なお花を押し花やドライフラワーに加工します。ブーケ保存加工専門店のシンフラワーでは、生花のイメージを損なうことなく美しい姿で保存加工するため、大切なお花をベストな状態で半永久的に飾って楽しんでいただけます。
シンフラワーの押し花は、花びらを一枚ずつ丁寧に押して作られます。すべての工程を手作業で行いますので、細かい部分まで美しく仕上がり、多くのお客様にご好評いただいています。
ブーケや花束を平面状に保存
ブーケや花束を保存したい場合、一般家庭ではすべてを押し花にするのは難しいため、花の一部のみを残す方がほとんどではないでしょうか。シンフラワーでは、お預かりしたブーケや押し花を一旦ほどいて、花びらを一枚ずつに丁寧に分けて押します。その後、元の花の形に組み立てて平面状のブーケ型になるよう仕上げるため、すべての花をまるごと保存することが可能です。
花だけでなく、束ねていたリボンや包装紙も使ってブーケの形を作るため、生花のときのイメージが損なわれません。
花を生ける際にはラッピング材を捨ててしまう方も多いですが、保存加工をご希望の場合は捨てずに保管しておくことをおすすめします。
シンフラワーでは、ブーケの形に組み立て直した押し花をフレームに閉じ込めてお客様にお戻しします。フレームは、花の量に合わせて多様なサイズから選べます。
好みのレイアウトでおしゃれなフレームアートに
ブーケ型のアレンジのほか、リース型やハート型など、さまざまな形で残すことが可能です。フレームいっぱいに花びらを配置した敷き詰めタイプも選べます。また、ひとつのブーケを2~3個の小さめのフレームに分けて残す方もいらっしゃいます。シンフラワーの押し花は、美しい状態が長期間保たれるように加工していますので、半永久的な保存が叶います。長く楽しめるお気に入りのインテリアアイテムとなるよう、サイズやデザインはじっくり考えてお選びください。
ウェディングブーケや記念日のお花を押し花にする場合は、刻印サービスのご利用がおすすめです。
フレームに刻印プレートを付けたり、レイアウトによっては台紙に直接印字したりすることもできます。
まとめ
押し花とは、自然の花を平らにして乾燥させたものです。元々は植物標本という役割で生まれたものでしたが、作り方が進化するにつれ趣味や芸術としての役割も持つようになりました。本来は手元に残せない命の短い切り花を、美しく保存できる点が最大の魅力といえるでしょう。
ただし、一般家庭で作る押し花は、色あせやシワなどができやすいなど難点もあります。生花の美しさを損なわずそのままの姿を保つには、専門的な技術が必要です。ウェディングブーケや記念日の花など、思い入れのある花を押し花で残すなら、保存加工専門店で加工しましょう。手作業で丁寧に加工するシンフラワーで作った押し花は、美しい姿のまま半永久的に保存できます。
- 押し花とは生花を平らに押して乾燥させたもので、元々は植物標本としてはじまった
- 生花を手元に残したい場合に役立ち、元の花よりボリュームダウンするため省スペースで保管できる
- 一般家庭で美しく保存性の高い押し花を作るのは難しいため、思い入れの強い花は保存加工専門店で加工しよう